お金くれるおじさん

ある日繁華街の歩道を歩いていた。時間は深夜を過ぎていた。終電もない。
歩いている人はまばらだが、さすがこの周辺最大の歓楽街である。また何人かの酔った男や水商売風の女性が歩いていた。

すると歩道の前10メートル位で、人の流れが横に曲がっている。よく見ると、曲がった人の流れの真ん中に一人のおじさんが立っていた。

薄汚れたジャンパーを着て、野球帽をかぶっていて、ランニングシューズの様なものを履いている。
手を見ると千円札が何枚か握られている。その一枚を右手に持って、歩道を歩く人々に渡そうとしているのだ。お金をくれる、おかねを配るおじさんである。

人々は怪しんで、そのお金をくれるおじさんを避けていく。

私は目の前に立ってみた。するとお金をくれるおじさんは、右手で千円札を突き出してきた。「これで飯でも食ってくれ」と言う。「なんでみんなに配っているの」と聞くと、頼まれたという。
「仕事だ」と言う。千円札を配って賃金をもらっているのだ。今夜ホテルに付き合ってくれたらもっと払うと言う。それは遠慮した。
エッチなしでお金くれるパトロンの意味

明るいうちだと警察がうるさい。だから深夜にやっているらしい。

予測するに、やばいお金を処分したいのだろう。この辺の闇組織が雇っているのだろう。
その闇組織の上には大企業が居るかもしれない。多分お金をくれるおじさんを直接雇っているのは、組織ではなく、間を取り持つちっぽけな人間だ。

「そのお金をもらっちゃえば良いのに」と言うと、そんな事をしたらこの街には居られなくなる、仕事も無くなる、家も無くなる、と言う。

私はそんなことなら千円もらって、タクシーで帰る事にした。このお金でご飯は食べない。

タクシーが家の前に止まって、料金を払おうと、手の中を見たら、まだあの千円札を握っていた。しかしタクシーの薄明りの中でよく見たら一万円札だった。

あのお金をくれるおじさんがおまけしてくれたらしい。お釣りをもらった。

ホ別イチゴ
意味わかる人